飲み会で仕事の話になったとき
競売の流れについて質問されることがあります。
そんな時、意外にも多くの人が
「ローンの支払いが滞ると、家の所有権が銀行に移る」
まさに銀行にブン取られる
そんなイメージを持っていることに驚きます。
外国映画なんかでも
「抵当で取られた~」とか言って
銀行を悪魔の化身のように言うシーンを見ることがあります。
私だけでしょうか(笑)?
そんなシーンをみると
銀行員でもない私は
「何を被害者ぶって」とか思っちゃうんですけど。
性格悪いですかね。
知っている人にはつまらない話です。
ローンの支払いが滞っても、銀行に所有権は移りません!
ローンを組んでいるあなた
お手元の「金銭消費貸借抵当権設定契約証書」をご覧下さい。
どこにもそんなことは書いてありませんから。
銀行は、あなたのお宅の所有権なんて、いりません。
断じて。(たまに自己競落といって落札します)
欲しいのは、お金です。
元金と利息です。
「貸した金返せよ」です。
貸し手たる銀行としては
あなたがローンを払えないのなら
とっととあなたのお宅をお金に換えたいのです。
あなたが嫌だと言おうがなんだろうが
滞納が続いた場合、お金を払ってもらうために
「競売なり任意売却なりの手続きをへて家を売ってしまう権利」
を銀行側に渡す契約
それこそが抵当権の設定契約というものです。
ですから「銀行に抵当で取られた」という表現は
ちんぷんかんぷんなんですね。
まず、銀行はお宅の所有権を奪わない。
次に、お金を融資してもらった時点で抵当に取られています。
下世話な言い方をすれば、はじめから金タ○を握られてるんです。
しかも、完済するまでずっと。
握られっぱなし。
ですから、ローンを滞納してしまった後になって
銀行側を悪魔のようになじるのはオカシイんです。
ちなみに、現在のほとんどの住宅ローン利用者は
住宅金融支援機構からの融資を受けると思います。
その場合、銀行はただの窓口・代理店です。
登記簿を見るとわかりますが
抵当権の権利者は「住宅金融支援機構(以前の住宅金融公庫)」であり
「取扱店」として銀行名が載っていると思います。
あなたのお宅の抵当権が実行されるとすれば
高確率で住宅金融支援機構の申立によるものです。
お金を出したのは住宅金融支援機構なので。
そういう意味でも、銀行に抵当で取られた
という表現のオカシサが分かってもらえたと思います。
ではまた。