父は、ズッーと昔、不動産の賃貸の会社にいたことがあります。
その後は売買を中心にしていますが、全ての経験を基に
後悔しない部屋の借り方を伝授します。
鉄則その1
不動産屋さんの気持ちになれ
あなたが胡散くさいと思っている不動産屋さん
あなたは、不動産屋さんの気持ちを考えたことがあるでしょうか?
遠回りのように思われるかもしれませんが
まず鉄則その1として「不動産屋さん気持ちになる」ことで
鉄則その2以降の理解が深まります。
是非、ここであなたも不動産屋さんの気持ちになって
彼らが何を考え、どう行動するのかを理解して下さい。
不動産屋さん(不動産仲介業、以下「業者」) は大きく分けて3つのタイプに分かれます。
1 「売買専門」
2 「賃貸専門」
3 「売買&賃貸」
です。
この記事は賃貸物件を借りる方のためにありますので、
1の「売買専門」の業者の説明は割愛します。
あなたがこれから部屋を借りるときに手伝ってくれる
業者は2「賃貸専門」か、3「売買&賃貸」の仲介をしている業者ということになります。
ここであなたに再認識していただきたいのは
2・3のどちらの業者も
売上・利益はもっぱら「仲介手数料」なのだということです。
業者が仲介手数料で食べてるなんて
当たり前すぎるかもしれませんが
いくら強調してもし足りないくらい 覚えていてほしいことなのです。
業者もビジネスとして仲介業をしています。
仲介手数料の仕組みを知ることで
業者がどのような思考で行動するのかということが
合理的に理解できるようになります。
仲介手数料の基本
売買の場合(400万円以上 例5,000万円)
(5,000万円✖️3%+60,000円)✖️消費税=171.6万円
が売主または買主のどちらか片方から受け取れる
仲介手数料の上限となっています。
「どちらか片方から」がポイントです!!
売買の場合
仲介手数料を
「売主からも買主からももらう」
パターンと
「売主からだけ」「買主からだけ」もらう
パターンと
2つあります。
売主の依頼を受けた業者Aが買主をも見つけた場合です。
報酬額の上限は倍の約343万円です。
(上限ですから、少なくても問題はありません)
報酬は業者A・Bともに171.6万円となります。
売買の仲介手数料のポイントは
売主と買主の間に入る業者の数によって
報酬が異なる ということです。
ちなみに、業者Aのみで売買契約を成立させ
売主・買主双方から手数料を受領することを
「両手」と言います。
賃貸の場合
通常、あなたが部屋を借りる場合必ずと言っていいほど
「家賃1か月分+消費税」の仲介手数料を業者に支払うことになります。
10万円の家賃なら、11万円ですね。
では、賃貸の場合も、売買と同様に
間に入る業者が1社だった場合、「両手」
として22万円の報酬を得ることができるのでしょうか?
答えは、「NO」です。
なぜかは知りませんが、宅建業法という法律で
「貸主または借主からもらえる報酬の合計は家賃1か月分プラス消費税まで」
と決まっているからです。
ですから、賃貸の場合、「両手」は不可能なんです。
ちょっと待って下さい。
あなたは業者さんに1.10か月分の家賃を支払いました。
すると、貸主さんは業者に仲介手数料を
1円も支払わないことになります。
貸主さんは、仲介手数料を支払わなくてよいのでしょうか??
そんな疑問が当然わきますよね。
実は、仲介手数料は払っていません!!
でも、貸主さんから依頼を受けた業者さんが
タダで借主さんを探してくれるはずはありません。
ビジネスですからね。
ではどうしているかというと
貸主さんは
「広告宣伝料」といった名目の料金を成果報酬として
業者に支払っているのです!
この「広告宣伝料」は実質的に仲介手数料の性質を持っているのですが(笑)
別に違法でもなんでもありません。
お客さんを探すにはチラシ代やガソリン代、その他
もろもろの費用も掛かりますから
正当な報酬です。
通常、広告宣伝料もやはり家賃1か月分です。
が、この広告宣伝料は、貸主さんが合意していれば
1か月分以上もらってもOKです。
早く、お客さんを見つけてほしいと願う貸主は広告宣伝料を増やす傾向にあります。
つまり、実質的には賃貸の場合においても
売買と同様、片手だったり両手だったりということがあります。
広告宣伝料の額によっては
家賃2か月分以上、ということもあります。
以上が、簡単な仲介業者の報酬の仕組みです。
そしてここで押さえておいていただきたい点は2つです。
まず、業者の立場によって報酬が
「片手」
「両手」
に分かれるということ。
もう一つは、片手であれ両手であれ
売買の報酬額のほうが、賃貸よりも圧倒的に高い
ということです。
逆に言えば、賃貸営業というのは典型的な薄利多売方式の商売ですから、
数をこなす・回転率、といったものが
どうしても重視されるのです。
つまり、賃貸営業では
そのビジネスモデルやスキーム(仕組み・構造)上
常に意識されるのが
・報酬が「片手か」「両手か」
・スピーディーに成約を取り続けること
の2点なのです。
なぜ、希望と違う物件を紹介してくるのか?
報酬が両手の物件が決まったら嬉しいからです。
なぜ、しつこい営業電話をかけてくるのか?
とっとと決めて、次のお客さんに移りたい(移らざるをえない)からです。
一見あなたには迷惑とも思える業者さんの行動は
業者さん個人の性格が曲がっているからではないのです。
ダメ人間の集まりでもないのです。
超ダメな人もいますけど(笑)
ビジネスをやるうえで、合理的に動いているだけなのです。
ここまでで、なんとなく
業者さんの気持ちがわかったところで
次の鉄則その2にいきたいと思います。
鉄則その2
適切なお店を見つけなさい
あなたが賃貸物件への引っ越しを考えたとき
まっさきにすることはネット検索だと思います。
Yahoo!不動産、athome、Homes等々。
掲載物件の豊富さなら@nifty不動産もおススメでした。
ネット検索をして、気になる物件があってはじめて
あなたは業者さんに電話をするかと思います。
問い合わせをすると
「ちょっとお待ち下さ~い。あ、もうそれないですね~。
電話番号教えて下さ~い。なんだったら一度お店に来て下さ~い」
って言われたことが少なからずあると思います。
「ちぇっ だったら消せよ」
と思うあなたの気持ち、わかります。
ズバリ言っておきます。
ネット検索は、相場観を見るためだと割り切って下さい。
「不動産に掘り出し物はない」
というのが業界の常識です。
「ネット掲載の物件は存在しない」
ではないです。
ほとんど、ありますからね。
ただ、あなたが借りたいと思ったほどの物件ですから
ネットを通じて他の人が手を付けている可能性が高いのです。
掲載後すぐ反応するくらいでないと、いい物件には
申し込めません。
また、店頭看板にあった物件が、店内に入って聞くと
もうなかったという場合もあります。
この点については、少し大目に見てあげて下さい。
多くの業者さんは、非常に忙しいので、
ネットや広告の情報をタイムリーに入れ替えることが現実的に厳しかったりもするのです。
もちろん、一部ですが
ネット上や店頭看板で存在しない物件情報を
知っていて掲載する「おとり広告」という違法行為をしている業者もあります。
ある業者さんが
「店頭で広告なんて見てないで、はやくお店に入ってきなよ。
どうせそんな物件ないんだからさ」と言っていたという話を聞いたことがあります。
ともあれ、いい物件を見つけたかったら
ネットや店頭看板は参考と割り切って
実際に店頭に行ってください。
まず、お店に行く。
これは大事です。
次に、どんなお店に行くべきか
基本的にどの業者を訪ねても、あまり変わりはありません。
ネットではA業者が取り扱ってると書いてあっても
あなたの近所のB業者に行けば紹介してもらえます。
また、紹介してくれる物件の95%くらいはどこに行っても変わりません。
なぜなら、レインズという全国の業者間専用の物件情報システムを使用しているからです。
あなたの条件を、忠実に検索にかけるなら、
全国の誰が打ち込んでも、同じ物件が表示されます(笑)
街の不動産屋さんには大きく分けて2つあります。
一つ目は「路面店」と呼ばれる、1階の道路に面した店舗。
二つ目は2階以上に構えるお店(空中階とも言います)です。
あなたなら、路面店と、雑居ビルの4階にあるお店と
どちらが入りやすいですか??
当然、路面店ですよね。
エレベーターに乗って、いきなり4階のお店にズカズカと入れる人は少数派です。
たまにいますけど(笑)
事実、2階以上にあるお店に飛び込み客はほとんどいません。
ここで少し、頭の体操です。
路面店は、飛び込みのお客さんが結構います。
2階以上のお店は、飛び込み客はほぼ皆無です。
売上に直結する大問題ですよね。
では、2階以上のお店はどうやって集客しているのでしょうか??
答えは
ネット集客に注力している
です。
ネットに物件をたくさんアップして
問い合わせてくれたお客さんにアポを取る。
アポがなきゃ、わざわざ誰も上の階まで来てくれませんからね。
路面店の特徴を書きます。
路面店(おじいさん一人のお店とかは除きますよ)のスタッフは、
飛び込みのお客さんと、内覧のお客さんとの対応で、めちゃくちゃ忙しいです。
スタッフの数が少なければ、それなりにあなたに割ける時間も少なくなる傾向があります。
ただ、愛想や接客はお客さん慣れしているだけあって、感じがいい傾向にあります。
忙しい路面店ですから
メールで問い合わせをしても
回答が後回しになることも多いでしょう。
入りやすさ、話しやすさという点で
路面店に一度入ってアレコレお話を聞くというのは
有効です。
ただ、路面店の店舗の賃料は高いです。
その高い賃料を払うために、その業者さんは結構必死です。
業者さんがどう振る舞うか、わかりますよね??
2階以上のお店の特徴
基本的に店内はガラガラです。
スタッフの年齢は若い気がします(独断と偏見)。
路面店以上に口が上手くないと集客ができません。
ってここまで書いていて、ただの悪口みたいで
ゴメンナサイ(笑)
2階以上にあるお店がダメ、という気は全く、もう全くありません。
事実、私のかつての住まいも
雑居ビルの5階くらいのユニークな業者さんのお世話になり、満足してますから。
ただ、玉石混交なんです。
たとえば、店舗の家賃が路面店よりは安いんです。
安くても出店できる、となると
怪しい業者も交じってきちゃうのです。
詐欺みたいな広告で釣って、事務所に呼んで、契約するまで軟禁みたいな。
そんな業者、ほとんどないので 安心してもらっていいですが
ないわけでもないので、大人の常識で対応してください。
路面店にせよ2階以上の店舗にせよ
あなたにとって確実にいいお店を見分ける方法は
残念ながら ありません。
ただ、少しだけ参考にしていただきたいことはいくつかあります。
まずは
「知人に教えてもらう」というのがいいでしょう。
「あそこ良かったよ」という情報は一番信頼できます。
また、自分の知人に不動産業者はいないか、友人の知り合いにいないか?
も考えて見てください。
前述の通り、不動産業者が見れるレインズというシステムは
不動産業者なら誰でも見られますので、仮に知人が売買専門であっても
賃貸の物件情報を探してみることが可能です。
私も、数名、知人のために業務外で賃貸物件の検索のお手伝いをしました。
次はよく言われるのですが
「免許番号の確認」です。
ネットで物件情報を検索していると
業者の名称や連絡先の近くに必ず
「国土交通大臣免許(1)○○号」
「東京都知事免許(9)×× 号」
と書いてあります。
(1)とか(9)とかの数字は免許の更新の回数です。
この回数の多さを目安としようということです。
(1)だから怪しい業者だというわけでもないので
個人的にそんなにアテになるものだとは思いませんが
2階以上のお店については、もしかしたら参考にしてもいいかもしれません。
飛び込み客の少ない店舗で、何年も営業するのはナカナカできることではありません。
最後に書き忘れたことがありました。
ネットは相場観の為と割り切って下さい
と書きましたが
ネットからも悪徳業者を避ける方法があります。
優良業者を見つける方法ではありません。
世の中にはたくさんの不動産情報サイトが溢れています。
Yahoo !やathomesなどなど。
業者はそこに掲載するためにお金を払っています。
では、お金を払えばどのサイトでも掲載してもらえるかというと、そうではありません。
サイトの考える掲載基準というものを
業者が満たさない場合
「お金を積まれてもウチのサイトには載せません!」
というサイトがあります。
たとえ掲載物件数は少なくとも
質の高い情報のみを掲載するという
意気込みのあるサイト運営会社です。
かつて私の知る限り、掲載基準の厳しいトップ2は
リクルートの運営する「SUUMO」
と
「賃貸360°」だった気がします。
「SUUMO」や「360°」に掲載している業者だから
安心というわけにもいきませんが
あなた以外の第三者が、ポジティブな評価を下した
結果の掲載だとは言えそうです。
お店に行くことは、色々大変なことだと思いますが
多角的に検討してみてください。
次回、鉄則の3〜5を書きますのでお楽しみに。