「父の遺言が連帯保証人になってはいけない」
という人もいるかもしれません。
私は「不動産を共有してはいけない」と言っておきたいと思います。
日本で、不動産は土地と建物は別の不動産として取り扱われ
さらに、土地と建物それぞれについて、単独または複数人の共有持分による所有が認められています。
不動産トラブルに関する多くは
土地と建物の所有権が1対1で対応していないことから起こります。
つまり
土地も建物もAさんが単独所有であれば、何も問題はおきません。
土地はAさん所有 建物はBさんが所有
土地も建物もAさんとBさんで共有
土地はAさんとBさん 建物はAさん
とかとか、無限にあるこのような組み合わせでトラブルが起きます。
とりあえず、身近な例をあげると
夫婦でマンションを購入した時に
夫または妻の単独の名義ではなく、夫婦で1/2ずつの所有権登記をする人がいます。
やめましょう。
せっかく買った高額なマンションの資産価値が大きく減ります。
仮にそのマンションが5,000万円だったとしましょう。
1/2ずつだから、それぞれ2,500万円の価値を保有していると考えるのは大きな間違いです。
例えば、残念なことに離婚をすることになったとします。
もうお互いの顔も見たくないでしょうから、どちらかがマンションを離れ
自分の持分を売却してお金に換えたいと考えた時
一体だれが、その持分を2,500万円も出して買ってくれるのでしょうか??
知らない人が、もう1/2の持分を持っているマンションを。
100円の肉まんを、知らない誰かが半分かじって、残りの半分を50円で他人が買いますか??
買いませんよ。食べ物だったら、お金をもらっても断りたいところです。
不動産だって、似たようなところがありますよ。
ですから、まれに、競売とかでも「共有持分だけ」の案件がありますが
共有持分だけの物件の評価は
2,500万円をベースにしたとしても
競売という物件がなかなか内覧できない特殊性で30%減(1,750万円)
さらに共有持分だけを買う人が通常いないのでさらに20〜40%減
の1,050万円から入札スタート
とかになりがちです。半分以下ですよ。
でも、さすがに1,050万円であれば買ってもいいという人は出てくるでしょう。
それは離婚する相手方かもしれないし
知らない人と一緒に住むつもりはさらさらないけれど、
1,050万円で不動産の半分の権利を得てから
1/2を持っているもう一人に
「2,500万円(かそれ以上)で買ってあげるから出て行って」と交渉するプロです。
この交渉が成立すれば、5,000万円のマンションを3,550万円という7割の価格で取得できるのですから
参入する業者はたくさんいます。
しかし、結局のところ、夫婦のトータルでは5,000万円のものが、
共有持分で登記をしていたばかりに
約1,500万円もの価格がどこかに消えたわけです。
この構造は、マンションに限らず、戸建てにも当然あてはまります。
男女は法のもとに平等ですし、夫婦の財産は夫婦で分かち合うべきです。
しかし、だからといって不動産を共有持分にすることはすすめません。
結婚や家の購入の際に、あらかじめ離婚をする時のことを話しあうことは
まずないと思います。私もしないと思います。
ですが、共有持分で登記をすると、万が一のとき、お互いに損をすることになる可能性が高い
ということはシェアしたほうがいいかもしれません。
夫婦は平等だから、どうしても半分の権利を保有していたいと考えるのならば
例えば、不動産の登記は夫の単独名義にしておくが
売却したときは売却額の半分は妻が取得するという旨の公正証書を作成しておくとか。
(これは、今私が適当に考えたもので、他にもっと実効性の高いものがあるはずです)
離婚は、別れの時に、お互いにそれなりのお金が手元に残れば、そんなに禍根を残さないものでしょう。
もし万が一、将来にお互いが離れる選択をするかもしれない時に、笑って手を振れるようにするために
仲がいいうちから対策をしておいたほうがいいかもしれませんね。
言い忘れましたが、
分譲マンション自体が、土地を多くの他人と共有していますので
流通性・換価性が劣ることを付け加えておきます。
ではまた。