4年ほど前、家族で台湾に旅行にいきました。
下の子はまだ妻のお腹のなかにいる時期です。
台北から羽田まで、せいぜい3時間くらいのフライトですから
当時、流行していたLCC(格安飛行機)を利用してみようと
台湾系のLCCを復路の飛行機として選択しました。
台北の出発が夕方18時くらいで、当日中には東京の自宅に帰れる予定でした。
キャビンアテンダントはみな若い女性で
制服は、上はピタピタしたTシャツ、下はボディラインのわかるジャージのようなもので
「セクシー」とは言えないけれど、オヤジたちの俗情を喚起するには十分ないやらしさがあり
妻は眉をひそめていたものです。
離陸して30分ほど経ったときでしょうか
妻も上の子も、疲れて眠っています。
私は通路側に座っており、通路を挟んで反対側の一つ前に
20代の青年(外国人)が座っていました。
彼は前の座席の背もたれにあるポケットに、イヤホンを繋いだ携帯音楽プレーヤーを入れていました。
すると、イヤホンジャックの部分から突然発火
「シュシュシュシュ・・・」という音とともに「パン!」と閃光を放ちました。
音楽プレーヤーは床に落ち、床でくすぶっています。
私は、その一部始終を見ていたので
「そんなに大したことではない」とたかをくくっていましたが
機内でものが燃え、煙を出し、鎮火したわけでもない状況に困惑はしました。
ピチピチギャルCAが駆けつけたので、消火活動をさくっとやってくるかと思いきや
彼女が持ってきたのはコンビニのお弁当についてくるような
「紙のおしぼり」でした。
全然、火は消えません。
ていうか、お嬢さん、危ないよ。
とにかく、頼りない。
そうこうするうちにも煙は出続け
煙が妊婦に良いわけもないので妻を起こし
上の子は起きず(笑)
上の子を抱えて、飛行機の一番後ろまで避難しました。
飛行機の後方座席にいた人は
前方から煙が出ているし、客も後ろに移動してくるし
何事かと超不安になったことでしょう。
私も、現場を目撃していた冷静なおとなのひとりの義務として
消火活動を手伝うことにしました。
「水はどこだい?」と英語でCAに聞くと
飛行機の後方の機内食を用意する場所だと。
探すと、コーヒーのポットがひとつ。
そして水栓の蛇口を開くと、きわめて頼りない水量の水がチョボチョボと。
ゴミ箱として置いてあったポリバケツにその水をチョビチョビ入れました。
そして、無事、鎮火。
しかし、機内に煙は立ち込めたままです。
上空で換気はできないのですね。
そして、急遽、飛行機は羽田ではなく、台北の空港に戻ることになりました。
飛行機が着陸すると、消防隊員が複数乗り込んできて
発火元の青年以外が全員下され、そのまま、空港で次の便まで3時間くらい待たされました。
結局、自宅に帰れたのは翌日の朝です。
この顛末は、当時、どこのニュースにも取り上げられていません。
「ああ、この程度のことは、ニュースにならないのだなあ」と思ったことを覚えています。
そして妻と
「もう2度とLCCは利用すまい」と決意をしたのは言うまでもありません。
ナショナルフラッグがLCCより優れているかどうかは知りませんが
意外と「制服の威力」はある気がします。
ピタピタのジャージの女の子よりも、スーツの制服のほうが、頼もしく見えるのは
事実としてあるかもしれません。
ギャルCAに恨みもないけれど
お金を節約したばかりに不安な気持ちにさせられるのならば
多少のお金を追加してでも、フツーの飛行機に乗ろうと強く思いました。
ではまた。