保険のプロは生命保険に入らない!?
よく知られているように
保険に詳しい人は、民間の保険を利用していないケースが多いです。
こういう本ですね。
後田 享『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』
類書はたくさんありまして
内容は
・国民健康保険が意外と充実しているのでそれで十分。
・掛け金の安い、共済で十分。
・生命保険は死ぬことに賭けるギャンブルで
とりわけ民間の勧めてくる保険は、広告費、人件費の分だけ割高。
・生命保険はネット生保にすべし。
という感じでしょうか。
まったくもって、異論はありません。
私もネット生保に入っているくらいです。
不動産のプロは不動産を買わない!?
保険のプロと同じように?
私は不動産業界に長くいて、不動産を買おうとはまったく思いません。
業界の闇?を見てきてうんざりしているのもありますが
単純に、特段ほかよりもすぐれた投資商品だと思えないからです。
不動産の小口化商品
たとえば
不動産投資は初期投資額がとても大きいため
投資に参加できる人が限られます。
そこで不動産投資参入者を増やすために
「小口化」といって
1億円の不動産を取得するのに
1人(1口)につき10万円を1,000人から集め
出資金に応じた配当をするビジネスが根強く続いています。
私の知っているかぎり、だいたい年間5〜10%程度の配当でしょうか。
10万円で10%だと年間で1万円(ひと月あたり833円)です。
馬鹿じゃなかろか。
FXなら10万円の資金で1,000円稼ぐのに3日で達成できます。
私は、以前、小口化用の収益物件を買う不動産会社とやりとりをし
「顧客にとっていかに手堅い投資商品なのか」を説明されましたが
関連会社の不正もあり、どこかに消えてしまいました。
そんなものです。
ほかに、自社で組成した小口化商品を
自社の事務のおばちゃんが200万円くらい投資している
という会社も聞いたことがあります。
自分たちで物件の仕入れをして、身内に販売できるくらいならいいのかもしれませんが。
注意しなければいけないのは
不動産の小口化商品というのは、不動産投資ではなく、金融商品投資であることです。
10万円投資したって、所有権の1/1,000がもらえるわけではありません。
所有権はどこかの法人が持ったままですから。
「あなたも10万円でオーナーになれる」みたいなセールストークには要注意。
小口化商品が悪いわけではないけれど
私は決して、小口化商品を批判しているのではありません。
一定の需要があるからこそ、そのような商品が生み出されるのであり
市場原理として当然の流れです。
単純に、「プロは買わない」と言っているだけです。
なぜ買わないか?
例えばある小口化用の不動産を買う会社があったとして
すごいお買い得な不動産を見つけたとします。
「お、安い!買いたい!」と思いますね。
そしたら、自社のお金で買って、自社で登記して自社単独の所有物にしますよ。
100人からお金を募って、複雑な仕組みのなか、出資者に配当を渡す
みたいな面倒なことしませんよ。
必ず、小口化の対象となる不動産は
その会社にとって1番セクシーで魅力的な物件ではなく
自分の会社では保有するリスクは負いたくない 2番手以降の物件になります。
料亭じゃなくスーパーに卸す魚みたいなものです。
それをプロが嬉々として買っていたら、馬鹿にされます。
それでもあなたは、不動産業者から勧められる不動産を欲しいと思いますか?
ではまた。