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不動産 宅建試験 民法を知っていこう 自由が大切

宅建の問題をちら見してましたら

「いい問題つくるのぉ」

と少し感心した問題があったのでご紹介します。



代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 

1 未成年者が代理人となって締結した契約の効果は、当該行為を行うにつき当該未成年者の法定代理人による同意がなければ、有効に本人に帰属しない。

 

2 法人について即時取得の成否が問題となる場合、当該法人の代表機関が代理人によって取引を行ったのであれば、即時取得の要件である善意・無過失の有無は、当該代理人を基準にして判断される。

 

3 不動産の売買契約に関して、同一人物が売主及び買主の双方の代理人となった場合であっても、売主及び買主の双方があらかじめ承諾をしているときには、当該売買契約の効果は両当事者に有効に帰属する。

 

4 法定代理人は、やむを得ない事由がなくとも、復代理人を選任することができる。

 

いきなり難しいですか(笑)

 

なにも私は民法の難しさを突きつけているわけじゃないですからね。

ご安心を。

 

実は私もこの問題を読みながら、知らない規定が多少あります。

 

でも答えは分かりました。

 

あてずっぽうでも、消去法でもないです。

自信をもってコレが✖️だな。

だから他は良く知らないけど、だな、みたいな。

 

なぜ分かるかというと、

すごくシンプルな民法の基本的な考え方みたいなものを

私なりに押さえているからだと思います。

 

細かいことは知らなくても(知っているに越したことはないですが)、

これは解ける問題なんですね。

 

誤っている選択肢は1です。

 

あなたが難しいと思っている民法くんですが

振り返ってみてください。

 

人生において民法くんに何か邪魔されたこと

ありますか??

 

人生において「民法~条の規定により、それは無効だ!」と

言ったり言われたりしたこと、ありますか??

 

おそらくないんじゃないですかね。

 

少なくとも今までの私のプライベートな時間で

民法を意識したことはほとんどないですよ。

 

ってことはですね。

裏を返すまでもなく、我々の常識と民法に書かれていることは相当近い、ということです。

 

民法を意識しなくても今までやってこれてるんですから。

 

なのに、難しいと思い込んでしまっている。

もったいないですよ。

 

今から、民法恐れるに足りず、と思いましょう。


さて本題の民法のキモに行きましょう。

 

と、その前にわれわれ日本人はメチャクチャ自由度が高い

ということは噛みしめておいてください。

 

職業や住む場所や思想等々の選択の自由がありますよね。

 

憲法で保障されています。

 

そんなわけでわれわれはかなり自由に活動をしていいことになってます。

唯一「他の人の権利を侵害しない範囲で」というただし書きがつきますが。

 

ですから、基本的にはあなたが誰とどのような契約を結ぼうが自由です。

 

本当に自由です

 

私はたったこれだけのことに気付くのに、相当時間がかかりましたね。

バカなのかな。

 

民法の本には「契約自由の原則」とあります。

 

「原則」ってあると、「例外」がある気がしますよね。

「公序良俗に反する契約は無効」とか。

よく出てくるのは愛人契約賭博がらみですね。

あと、嘱託殺人(お願いだから殺して)というのも契約かな。

 

で、私は真面目だから(笑)

契約は必ずしも自由ではない、と理解してしまっていたんです。

 

ところがどっこい。

別に世の中に愛人はたくさんいるし、賭博をしている人もたくさんいますよね。

それぞれの当事者が、それぞれ交わした約束事に納得して事が進んでいるわけです。

 

そこに民法が積極的に割って入って「それ無効!」なんて言いません

 

本当に契約は自由ですね。

 

では民法の条文

「公序良俗に反する契約は無効」の「無効」とはどういう意味なのか。

 

要するに「裁判所に訴えても取り合ってもらえない」ということです。

 

「あいつがバクチの金を払ってくれねえんだよ。裁判官さま~」と言っても、

「ダメ。賭博債権は認めない」ってだけ(笑)

わかりにくかったらごめんなさい。

 

とりあえず今までのポイントは2つです。

1 自由は最大限に尊重される

2 無効の意味は、国には頼れない程度の意味

 

それでは、そのことを頭に入れながら、

誤りである肢1を見ましょう。
他の肢は省略。

 

1 未成年者が代理人となって締結した契約の効果は、当該行為を行うにつき当該未成年者の法定代理人による同意がなければ、有効に本人に帰属しない。

 

普通生活をしていて代理人をたてることはありません。

よく聞くのは、弁護士が代理人になるケースですね。

あとメジャーリーガーも代理人たててますよね。

 

なぜ代理人をたてるかというと、あなたの体がひとつしかないことと、

あなたよりも上手くできる人がいるからです。

 

明日の北海道での交渉は自分が対応したいけれど、

その日はあいにく九州に行かねばならぬ、でも体は一つ

という場合の分身的代理人。

 

自分が交渉するよりも、交渉のプロにお願いしたほうがスムーズに物事が進む。

という場合の代理人。

 

どちらにも共通しているのは、

代理人をたてることが結局は自分のメリットになる、ということですよね。

 

さてさて、あなたはこの度、ヒジョ~に優秀な、

お隣の19歳の少年(あなたよりもある面では優秀)に代理人になってもらいました。

代理人を選んだのはもちろんあなたです。

彼も二つ返事でOKしています。

 

これで代理人の委任ー受任契約は成立します。

よね?契約は自由なのですから。

 

未成年の彼を選んだのも、あなたの自由です。

 

なのに、彼が未成年だからといって、

彼があなたの知らない、彼のバカな親にいちいち同意を求めていたら

 

バカな親に向かって「お前を代理人にしたわけじゃない!」って言いたいですよね。

 

そんな回りくどいことをしていたら、チャンスを逃してしまうかもしれません。

 

なにより重要なのは、あなたはメリットを見出してるからこそ、彼を選任したのです。

 

であれば

未成年である彼を代理人として選んだことによるリスク(若さゆえの失敗の可能性)

を引き受けるべきだし、引き受ける覚悟があって彼を代理人にすることは全くもってあなたの自由だ。

ということです。

 

責任をあなたが取るのと引き換えに、あなたには代理人選任の自由があるのです。

 

ですから、ちっとも「彼の親」の出る幕じゃないんです。

彼の親が、あなたの自由(若者を代理人に選ぶ自由と、若者の代理行為の結果を享受する自由) 

を制限する理由が見当たりません。

 

というわけで、自由という観点でみれば、アッサリ分かる問題でした。

 

ではまた。

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