前回に引き続き
民法の裏マニュアル2です。
民法の第1条2項に
「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」
とあります。
法律の世界ではこれを
「信義則(しんぎそく)」
と呼んでいます。
「信義」なんて
のぶよし?
と読みたくなるくらい普段馴染みのない言葉ですよね。
そんな「信義則」
話は極めて簡単です。
「あなたが抱かせた、相手の信頼や期待は裏切らないでね」ということ。
当然ですよね??
でも、「信義則」については
少し面白い話があるんです。
法律の世界というのは
「条文に書いてあることが全て」
という一面があります。
条文に書かれていない理論で人を裁いてはいけません。
一応、日本は法治国家ということらしいですから。
ですが
民事的紛争において
「民法の条文では処理できないけど
どう考えてもコイツが悪い」
というケースがあるんですね。
誰もが「コイツ」を懲らしめるべきだと
思うような状況があるんです。
でも、条文では処理できそうにない。
そんな時に登場するのが
「信義則」なんです。
「信義則に違反しているからダメ」とか言って。
第2条1項に書いてありますからね(笑)
でも
もう一度条文を読んでもらいたいのですが
具体的に
何が「信義」で
何が「誠実」なのか
よく分かりませんよね。
時代によっても変わるでしょうし。
なので
そういうフニャフニャした基準を持ち出すことは
法曹の人にとっては超「苦肉の策」です。
事実
「信義則は最後の切り札」と言われています。
滅多なことがなければ
「信義則違反だからダメ」
という判決はおりません。
条文に書いてないからOKと思っても
君たちが誰かの信頼を損なうのなら
『信義則』違反でNGになるかもしれません。
信義則から派生する原則で
クリーンハンズの原則と呼ばれるものもあります。
イギリスの慣例法
「公平を求めて 裁判所に訴える者は、綺麗な手で訴えなければならない」
というのが元ネタです。
要するに
「お上にお願いするからには
お前さん、悪いことはしてないよな!?」
ということです。
よく例に出されるのが
賭博で負けた者が
「賭博は公序良俗違反で無効だ!
無効なのだから、スった金返してもらうぞ!」
と訴えて、その要求は通りますか??
というケース。
もちろん通りませんよね。
「お前も悪い」でオシマイ(笑)
英国風に言えば「お前の手は汚い」かな?
当たり前のこともイギリスの法格言ですと言われたら
なんか高尚な気がしてくるから不思議ですね。
ではまた。
ではまた。