「遺留分減殺請求」
なる言葉を耳にしたときは
まったく意味がわかりませんでした。
知っているフリをしたけども。
次に漢字を見て
タダならぬ気配を感じてしまいました。
殺し屋でも絡んでいるのではなかろうか、と。
これを「いりゅうぶん げんさいせいきゅう」
と読めた人、そして意味が分かる方は
この先に進まないでください。
はじめて聞いたぜ!という方にだけお届けします。
「遺留分」というものについて宅建で問われることは
あまりないかと思いますが
実生活においては、知っておいて損のない知識です。
「遺留分」とは相続のシーンで出てくる言葉です。
人(親)は必ず死ぬのですから、
「相続」という問題と無縁でいられる人は少数派だと思います。
よく知られているように
法定相続分について
「配偶者に1/2、残りは子の数で等分」くらいの知識はあるでしょう。
でも、意外とそれだけの知識しかない人って多いんです。
私が思うに「法定相続分」という言葉がよくないと思います。
「法定」とあると、例えばあなたが配偶者なら
自動的に「1/2」が保障されるイメージを抱きますよね?
実は、1/2は保障されません・・・
陳腐なドラマや漫画でよく遺産相続の配分についてモメるシーンありますよね。
1 「妻に全財産を譲る。バカ息子には1円もやらん」とか
2 「妻には不動産、長男には会社、次男には秘伝のレシピ」とか。
そんなのないか(笑)
まあ、ある父親が死ぬ前にそんな遺言(法律用語では「いごん」です)
を残していたとしましょう。
1の場合、バカ息子が
「ああ。別にそれでもいいよ。かあちゃん苦労してたしね。俺1円もいらないよ」
と言うことも考えられます。
その場合、配偶者の妻は1/2どころか100%もらえるわけです。
2の場合、不動産・会社・レシピという異なる価値を持っています。
それぞれを金額表示するのは難しいものです。
でも、その遺言に全員が納得していたら、別に幸せですよね。
確かに「法定相続分」というのが民法には書いてあります。
でも、それに従えということではないのです。
ここでの「法定」とは
「法の定めに従え」の意味ではなく
「遺言なり約束なりがない場合には、法の定めで処理する」
というだけのことだと理解してもらっていいと思います。
むしろ「遺留分」のほうが「保障」です。
「遺留分」とはなにかというと
「財産の配分について“不服がある”相続人(たとえば配偶者や子)に最低限保障される取り分」
ということです。
配偶者と子供2人というケースでは
配偶者の法定相続分は1/2、遺留分は1/4です。
子の遺留分は1/8です。
条文には
「遺留分に関する規定に違反することができない」
と書いてありますが、どうなんでしょう。
別に誰も不服がないなら大きなお世話って感じです。
自分の相続財産が、遺留分さえ下回るとき
それに不服があれば、遺留分は取り返せますよ、とご理解下さい。
不服がなく、全員が納得していれば、どのような配分であろうと
法律が関与する問題ではない、という点も覚えておいてください。
遺留分を取り返す請求を「遺留分減殺請求」いうのでした。
残された家族がギスギスすること必至なので
あまりしたくはない請求ですね。
ではまた。