(赤い字ばかりで読みづらかったら申し訳ないです。でも、誰も教えてくれないことを書いたつもり)
およそあらゆる試験には試験目的があります。
当たり前だといわずに我慢してください。
大学入試には大学入試の、入社試験には入社試験の
公務員試験には公務員試験の
そして、宅建試験には宅建試験の試験目的があります。
とりわけ、宅建試験は国家資格というわけで、民間の実施する試験よりも
より公益性の高い目的のもと、試験が実施されるということは、当たり前ですか?
では、宅地建物取引士の試験実施の根拠のおおもとである宅建業法の第一条をみてみましょう。
リラックスしてくださいね。
です。
つまり、「不動産屋を取り締まる」ということです。
昭和27年に施行された宅建業法ですが、その時点において
私流にいえば
「不動産屋には規制が必要だ(悪いことをするから)。
規制をしないと
業務な適正の運営、取引の公正、業務の健全な発達、購入者等の利益の保護、流通の円滑化が
実現できない。
だから、免許制にします」
ということ。う●こ扱いみたいですね。
逆にいうと、昭和26年以前から、危惧すべき常況であった(そして今も変わらない)、ということですね。
法律というものは、トラブルがなければ発布されませんから
法律ができたということは、トラブルがあったことの証明になります。
不動産業界にいる身としては、先輩方を恨まざるをえません(苦笑)
ともあれ、これで宅建業法の目的はわかりました。
では、国家資格たる宅建試験はどのような人を合格させたいでしょうか?
どのような人を合格させることが公益にかなう(として、国民に説明できる)でしょうか?
私の結論を申せば
宅建業法を暗記しているよりも、民法を理解している人
です。
話がそれますが(でも大事)
私は何度も「民法を勉強しよう」と言っています(これからも言うでしょう)。
実際の宅建試験では、宅建業法と民法が出題数の2大巨頭で
あらゆるまともなテキストも「宅建は暗記色が強いから直前に、民法は理解が大切だからしっかりと」
と書かれています。
私も98%賛同します。
2%足りないのは、「民法は理解が大切」というのが、
意味はわかるが、初学者や受験者にとって切実な響きがないというか
「いわんとしていることはわかるけれど、でも民法ムズいじゃん。やりたくないなあ」
というのが本音でしょう。
民法の攻略は簡単だ、とは私もいえません。
不動産業界にいる人間として、より身近に感じてもらえる努力はしますが。
でも、「民法は最初は少しとっつきづらいけど、我慢すれば必ず宅建業法以上の見返りはある。」
と断言しておきます。
イヤなのはわかるけど、やろう、ということです。
話を戻して
国家資格たる宅建試験として、どのような人を合格させれば公益にかなうと言えるか?ですが
宅建業法はすでにおわかりのように「道路交通法」みたいなもので
「アレはダメ、これはダメ、それもダメ、アレをして、これをして、それをして」的な法律です。
そんな取り締まられる側の細かい規定の置かれた法律を覚えている人と
民法のように、私人間のトラブル全般の基礎となる法律を理解している人
どちらが公益にかなうかといえば、断然民法を理解している人でしょう。
麻薬取締法を熟読しているのは、取締官ではなく、麻薬使用者であるとは思いませんか?
取締官のほうが読んでいるかもしれませんが、麻薬使用者よりも取締官を試験で評価するためには
別の上位の法律の理解を試すのが早いと思いませんか?
少し冗談が過ぎましたが
臨機応変な法律的思考(リーガルマインド)を身につけた人こそが
「悪い」宅建業界を「改善」するためには必要だ
と国は考えているはずです。
(ちなみに、学校の教員の免許更新制度の導入は、平成21年に導入されました。
裏を返せば、それまでは教員に対する免許の更新という発想がなかったが、必要性が認識されてきたということ。
不動産屋にはずっとあるのに。。。)
ここまで要約すると
「宅建業法を知っている者よりも、民法を理解している者を合格させたい」
というのが試験の本質だと考えています。
もっと突っ込んでいうと
民法を捨てて0点で受かる配点にはなっていないはず、ということです。
事実、宅建は、不動産屋で働いている人に5点免除という制度を用意していますが
例年、宅建業法は20問、民法は14問出題。
民法を捨てると他を全問正解して31点プラス免除の5点で36点と例年の合格ラインギリギリです。
また少し脱線して
(以前少し触れましたが)試験問題を出す側に立ってみましょう。
①国が依頼する出題者は大学教授が多い。
②大学教授にとっては、おそらく、そこそこ名誉(学生に自慢できる程度は)な仕事である。
③過去の問題は可能な限りチェック。重複がないように気をつける。プライドもあるし。
④しかし誰も解けない高度で専門的な問題を出したり、答えが割れるような問題は、批判されるので出せない。
一生の恥(になりうる)。
⑤過去問および過去問の難易度は踏襲しつつ(合格率の維持も大切なので)、自分がはじめて出題するオリジナリ
ティーも出したい、「先生いい問題出しましたね」と周りからできれば言われたいという自己顕示欲と葛藤す
る。
⑥たとえ知らな(過去問に出題されていな)くても、民法をベースとするリーガルマインドが身についていれば
論理的推定により解答できる問題を出しがち。
となります。
私も
知っているか知らないかで差がつく問題は、悪問とまでは言いませんが
「もう、そんなのはAIの時代に古いだろう」と思います。
罰金の額や仲介手数料の計算とかは、時代や貨幣価値が変われば、その知識は意味をなしません。
私たち人間が頭を使って取り組むべきは
「未知のシチュエーションに遭遇したときに、どう振舞うべきか?」という
「知らないけれど、これが正解なのか?」と推論することでしょう。
良問とは「知らないけれど、論理的に考えたら解ける」ものだと勝手に強調しておきます。
私が良問だと思った具体的な問題をこちらで書いています。
実際、不動産の実務というのは
二人として同じことがない人間
ふたつとして同じもののない不動産
が、さまざまな欲望に基づいて経済活動をするわけですから
同じ不動産取引ということもあり得ません。
宅建業界を「改善」していく資格があるらしいのは
「未知の出来事への対応力」です。
以上により
・国家試験の主催者側は宅建業法よりも民法
・出題者も規則が細かく暗記対応で解ける宅建業法よりも民法
という結論が、私的に導かれました。
これは、全宅建受験者に知っておいてもらいたいことですし
不動産業界ですこしだけ早く働く者としての実感です。
でも、誰も見てくれないんだろうなあ。
「宅建試験の本質」で検索する受験生いないでしょうし。でもいいです。
ではまた。