世の中には
「受け取らない人」というのが少なからずいます。
なんのことかって??
例えば郵便物やお金です。
債権者が債務者へ郵便物を送る
とか
裁判所が関係者へ郵便物を送る
そうした場合に
「受け取らない人」というのが一定数でてきます。
発送者にしたら
受け取ってもらわないと話が前に進みません。
たかが郵便ですが
こちらの意思が相手に到達する
ということは非常に大切です。
また、返すべき(だと自分が思う)お金を
相手に渡したいにもかかわらず
相手が色々な事情から受け取らないということがあります。
例えば家賃の額でモメてる時とかね。
借り手は10万円が正当だと思っているから
10万円払いたいのだけど
貸し手は12万円が正当だと思っているから
10万円では受け取らないとか。
そのように郵便物やらお金やらを届けたい・払いたい人がいて
一方で
受け取らない人がいる場合の話。
私なんか素直に
「受け取らない側が悪い」とか思っちゃいますが
現実はそういうわけにはいきません。
例えば10万円が家主に渡っていない以上
家主にしたら「賃料不払い」の状況と同じです。
「賃料不払い」は賃貸借契約の解除理由となりえます。
でも、受け取らないのは家主であって
あなたは払うつもりがある
なのに「不払い」と言われるのは困ります。
そこで登場するのが
「供託」という制度です。
家主に家賃を支払う代わりに
法務局にお金を預けることで
あなたは「賃料不払い」という不名誉・不利益を回避することができます。
郵便物の場合は
「公示送達」といって
裁判所の掲示板に張り出してもらうことで
「こちらの意思を伝えましたからね!!」とみなす制度です。
公示送達も供託も
実生活ではほとんど縁がないことですが 、不動産実務では頻出しますからご注意を。
ちなみに、余談ですが
「みなす」と「推定する」という法律用語は明確に違うので気をつけてください。
「みなす」は「それと同じように扱う」という強い感じです。
例えば
「BはAとみなす」とあったら、B=Aです。
未成年でも結婚したら成人とみなす、ということは未成年でも成人と同じように強制的に扱われます。
なので、公示送達も裁判所に掲示することをもって、意思表示が伝わったのと同じ効果を生みます。
ですから、あとから、「私は未成年だ」「私は書類を読んでいない」と主張しても
覆りません。
一方で、「推定する」は明確な証拠はないけれど、一旦、合理的に導かれる感じで扱う
ということですから、後々、証拠を出せば覆る余地があります。
例えば「妻が婚姻中に妊娠した子どもは、夫の子と推定する」みたいな。
違う証拠を出しますか?
ではまた。