不動産業者は
正式には「宅地建物取引業者(以下宅建業者という)」と表記されます。
宅建業者のもとで仕事に従事している人を
われわれは通常「不動産屋」と呼んでいます。
当然のように、われわれは不動産屋に対して
不動産のプロとしての振る舞いを期待するわけですが
父の知る限り、不動産のプロと呼べる人は極めて少ないのが実際の感覚です。
だって、あんな簡単な宅建士の資格でさえ
不動産屋の5人に1人持っていれば営業できるのですから
80%の人間が宅建士を持っていなくても大丈夫な業界です。真面目な話。
ひと口に不動産といっても
分野が細分化されていますので
賃貸・売買・管理を軸に
客層が個人・法人・金融機関などと多くの組み合わせが存在します。
ですから、自分の仕事の分野にはある程度詳しいけれど、他のことはわからない。
という人が大半です。
宅建士の免許は持っていないけど、抜群に物件を売るのが上手なだけの営業マンに
税金のことを聞いても答えてもらえなかったり
賃貸も売買も20年やっているけれど、競売の仕組みは一切知らなかったり
ということは日常茶飯事です。
でもみんな、自分を「不動産のプロ」だと思っています。
そして、われわれも、不動産屋イコール不動産のプロだと思い込んでいます。
まずは、そうではなく、不動産のプロというのはとても少ない
という認識からはじめていきましょう。
では、幅広い分野に精通していれば「プロ」かというと
それもまた違うから困りますね。
不動産に対して、狭くよりも広く興味を持っているだけ、優秀だとは言えますが
それぞれの特定分野でも深い知識を持っているかどうかはわかりません。
父が思う「不動産のプロ」というのは
自分が不動産のどの分野に強いかを認識し、それを顧客に説明できること。
そして他の分野に強い同業者とネットワークを持っていること。
だと思います。
例えば父が、全てに分野に強くある必要はありません。
売買がベースです。
税金、測量、登記などの実務については、
専門家にいつでも聞ける体制があれば事足ります。
うろ覚えの知識で顧客に説明をするのは、プロ意識に欠けますよね。
逆に、「私は賃貸には詳しくないけれど、賃貸に詳しいものを紹介しますね」
とお客さんに説明できる人は、プロだと言っていいとも思います。
信頼できる不動産業者の唯一の見つけかたは
親族または知人に紹介してもらうことです。
「共通の知り合いがいる」
という状況がもっとも不動産屋のえりを正すのに有効に機能します。
そして手数料をしっかりと払うことです。
これだけを守ってください。
かりに知り合いの紹介であっても
手数料を値切るような人は、優先順位が下がります。
仕事に対して、報酬を要求するのは社会人として当然のことです。
ですから、見ず知らずの不動産屋にアプローチして、手数料を値切る
というのは「私をだましてくれ」というに等しい自殺行為となります。
ここまで書いたことは
不動産業者に限らず、他の分野にも当てはまることだと思います。
ではまた。