日本には登記という制度があり
大別して不動産登記と商業(法人)登記の2つがあります。
目的は、不動産または法人の利害関係者や権利関係を
広く全国民に知らせ、取引の安全性を確保することです。
法務局(またはネット上のシステム)でお金を払って請求すれば
誰でも閲覧できるようになっています。
我々国民は「知りたければ」どの不動産や法人でも、その所有者や代表者(社長)を知ることができます。
しかし、不動産の実務をしている実感からして
登記(されている事項)の信用性は、そんなに高くありません。
90%くらいでしょうか。
残り10%くらいは、どこか現在の真実を反映していない部分があります。
真の所有者とか、住所とか。
登記は、申請がベースですから
申請すべき人が、新しく更新された情報を申請しない限り古いままです。
・親が死んで、実際は相続が発生しているけれど、登記はまだしていない
(明治30年に所有権が移転したままの登記などを見ると、ご存命の確率は0だと思います)
・引っ越しをして住所が変わっているけれど、登記申請はしていない
などはザラです。
ですから、難しい言葉で「登記に公示力はあるが、公信力はない」と表現されます。
簡単にいうと「それっぽいけど、確実に信じていい証明ではない」というだけの話です。
じゃあ、やめちまえよ、と思わないこともないですが
公信力はない=確実に信じていい証明ではない
ということは、と登記を理解するうえで、とても大切です。
前述したように、登記が関係者の申請に基づく以上
うっかり登記し忘れということは避けられないため
膨大な登記情報を常に最新かつ正確に調えることは不可能です。
なので、「証明書」的な役割はとても担えない、という意味で「公信力がない」ということになります。
では「公示力」に何の意味が?と思ったあなたは鋭くて
「公信力がない」≒ 信じるに値しない
とまでは言えなくて
状況に応じては、登記を信じた人を保護するケースもある、ということです。
(登記を信じた人と、登記の申請を怠った人、どちらに落ち度があるでしょうか?)
全く役に立たない制度ではない、と願いたいところです。
この文章を書いている最大の目的は
「登記を真正な証明書だと思っている人が多いけど、それは全然違うよ」ということです。
登記簿は正しいと思っている人が多いから
地面師と言われる、不動産がらみの詐欺がなくならないのです。
気をつけましょう。
ではまた。