「お金とは何か?」
古代からいろんな人が語ってきているテーマであり
現代でも、岩井克人『貨幣論』ちくま学芸文庫 のような書籍も売られ続けています。
そんな私がこの壮大なテーマに答えを出せるわけもありませんが
我が家的に子どもに伝えておきたいことがあります。
お金は手段か目的か
お金は
①自分が他者から提供される財(グッズ)または役務(サービス)の対価として払う
または
②自分が他者へ提供する財または役務の対価としてもらう
のが基本です。
①の場合のお金は、手段です。
②の場合のお金は、目的です。
働かざる者食うべからずと同じ理屈で
誰かに何かをしてもらう一方で、自分も誰かに何かをする必要があり
互いの利害が一致している限りにおいて
お金は必要がありませんが
多様な需要を満たす潤滑油としてお金を介在させたほうが便利という話で
我々は
サービスを得る手段としてのお金を得る目的で働いたお金でサービスを得る
という無限の循環を繰り返します。
お金は必要です
裸一貫で、野生で生活してみたというアメリカ人の書籍である
マット・グレアム、ジョシュ・ヤング『ぼくは原始人になった』河出書房新社
を読めば
凡庸な現代人が完全な自給自足をすることがいかに困難かが分かります。
読まなくても、想像すれば分かりますか。
誰かからの財または役務の提供を、お金という形で表現する必要がある
貨幣経済市場で生きているかぎり
お金は生存のために必要です。
漫画家の西原理恵子さんは、たびたび著作の中で
「お金がないのは首がないのと同じ」
という独特の表現をします。
胴体だけの人間が生きていけないのと同じで
要するにお金がなければ「どうにもならん」ということでしょう。
当たり前のことですね。
拝金主義者はいるのか?
誰もがお金は必要だと認めざるをえないにもかかわらず
「金儲け」は否定的なニュアンスを帯びます。
生きる上での手段であり目的であるお金に対して
ある人が
どれくらいの重きを置いているか、その程度によって世間の評価が変わるようです。
お金を得るという目的に極端な比重を置くと、それは「拝金主義」と言われ
お金の力で無理やり何かをなそうとすると「金の力を使って下品」と言われます。
しかし、本当に拝金主義者などいるのでしょうか??
お金は最終的には使われなくては何の役にも立たないので
(天国に持っていけないというのは絶対的に正しい)
死期を悟った、相続人もいない天涯孤独の老人が
死ぬ間際まで預金残高を増やそうとするならば
それは拝金主義と言えそうです。
しかし、このような老人はただ滑稽なだけで、あまりいないでしょう。
老人がお金を貯め続ける動機があるとすれば
おそらくは、残される相続人のためであるはずです。
お金は、最終的に必ず何かの形で世に放出されますから
他人に対して拝金主義で溜め込みやがってなどと言ってみたところで、意味はありません。
お金で買えないものはないか
だいぶ前に堀江貴文さんが
「世の中に金で買えないものなんて、あるわけがない」と発言したとされバッシングをされました。
(堀江さんは「僕は一言もあんなことは言ってない。あのフレーズは朝日新聞が付けたタイトルですからね。
取材した記者がそうしたかっただけ。読者を反発させたかったんでしょうね。」と言っています。)
世の中で、お金で買えないものを考えてみると
自分の命、自分の時間、信頼関係
くらいではないかと思います。
逆に買えるものの質を問わなければ
他者の時間や肉体は買える(時給とはそういうもの)
健康、寿命、新たな生命の誕生(受精)などもお金でできることがありますよね。
生活困窮者に数百万円渡せば、誰かを殺すことも頼めるかもしれません。
(逆に誰かの恨みを買えば、自分の命など数百万円のために散る可能性がある)
「お金で買えないものがある」と言いたい気持ちは理解しますが
世の中は、お金がないばかりにできないことで溢れてもいます。
THE WILDHEARTSはこう歌った
私の敬愛するTHE WILDHEARTSのSky Babiesという大曲の一節に
money don't talk just given' ability
というものがあります。
「(自分の故郷の星では)お金はしゃべらず、能力を与えるだけ」と。
これはボーカル兼ギターのGingerが
「地球ではお金がしゃべるし、能力を与えない」と考えていることの裏返しです。
そう、世の中は、お金がないばかりにできないことで溢れてもいます。
と書いたのは
お金があればできることで溢れている、つまり、お金は能力を与えるのです。
また我々は
お金の言いなり(お金にしゃべらす)になるべきではなく
お金は我々が能力を得るために使われるのがいいのかもしれません。
お金とのつきあい方の正解
我が家的な、子どもに伝えておくお金とのつきあい方の4原則です。
1 お金を稼ぐ・儲けることは悪いことではない。ただ必要なだけと心得る。
2 稼いだお金は、自分または他者の可能性・能力開発のために有意義に使う。
3 お金のいいなりになってはいけない。
4 お金にものを言わせて、人を無理やり動かしてはいけない。