「不動産ブローカー」とはあまり聴き慣れないワードかと思います。
知っていても、知らなくてもどうでもいい言葉ですが
不動産屋でさえ「ブローカー」という言葉を曖昧に使っており
「ブローカーって何か説明してよ」と聞いて明解に答えてくれる確率はとても低いです。
マンガの『正直不動産』を読み返していて
《今は、不動産ブローカーです。みなさん、以後お見知りおきを》
《「知ってるか!?桐山のヤツ、不動産ブローカーになったらしいぞ」
「ああ。しかも、かなりのやり手って噂だ」》
《「永瀬、お前が持ってきた高井戸の土地の件だが、堀内ってブローカーは、信用できるのか?」
「はい。もちろんです」》
というセリフがありましたが
ブローカーが何かよくわからない人もいるのではないでしょうか。
ちなみに『正直不動産』は、他業種の方が読む入門書として
とても優れていると思います。
日本における「ブローカー」は蔑称に近い
日本の不動産業界で「あの人はブローカー」と言う場合
それは侮蔑的な響きを持ちます。
実際は
「あいつは、ただのブローカーじゃねえか」
「あのじいさんは信用ならないブローカー」
とか前後の言葉も汚いことが多い。
ですから
《今は、不動産ブローカーです。みなさん、以後お見知りおきを》
《「知ってるか!?桐山のヤツ、不動産ブローカーになったらしいぞ」
「ああ。しかも、かなりのやり手って噂だ」》
というセリフには少し違和感があります。
逆に
「あの人は信用できるブローカーです」
という用法で使われることを聞いたことがありません。
したがって、自分で自分をブローカーだと自認している人はあまりいませんし
名刺に「不動産ブローカー」と明記する人もいません。
《「永瀬、お前が持ってきた高井戸の土地の件だが、堀内ってブローカーは、信用できるのか?」
「はい。もちろんです」》
というやりとりにも違和感は残ります。
そもそもブローカーとは
仲介を意味するbrokerageから来ていますから
単に「仲介をする人」を意味し
宅建業者の多くが仲介をする以上、だいたいみんなブローカーと言わざるを得ません。
にもかかわらず、宅建業者と区別されるブローカー、その違いは何でしょうか?
ブローカーの特徴
日本語的な不動産ブローカーという言葉に明確な定義はないと思います。
私がブローカー(と呼ばれる人々)の特徴を挙げると
・法人としての宅建業の免許を持っていないにもかかわらず
不動産の物件情報を持って動いている。
なぜか喫茶店ルノアールでたむろしてます。
・法人ですらない場合もある。
・宅建士の資格は持っていてもブローカーとは呼ばれうる。
・徒党は組まず、ひとりで活動している傾向にある。
・年齢は関係がない。
という感じです。
基本的に
不動産の物件情報を誰かに紹介、成約させることで報酬を得ようとする点において
宅建業者の仲介業務と、やっていることは同一です。
にもかかわらず、業界で低く見られがちなのは
ブローカーが責任を負わない点かと思います。
ブローカーが責任を負わないとは?
不動産ブローカーの多くは
一人で動いており、宅建業の免許もないことが多いですから
通常の、顧客と宅建業者間で締結される媒介契約及びそれに基づく仲介手数料の受領
と言った「正規の手続き」をすることができません。
そのため、ブローカーのやっている業務は宅建業者と何ら変わることがないにもかかわらず
媒介契約、重要事項説明書、売買契約書等の書類に
一切ブローカーの名前が出てくることはありません。
別の宅建業者が行なうことになります。
そして、報酬を顧客から「仲介手数料」という名目でもらうことはできませんから
別の名目でもらう、書類にハンコを押した宅建業者の仲介手数料を分けてもらう等
をしてもらうことになります。
このように不動産ブローカーは宅建業法の外側で活動をしているので
宅建業法的な責任を一切追及することができません。
大手宅建業者にもブローカーはいる
通常、宅建業者として営業している人を指して
「ブローカー」とは言いませんが
大手宅建業者で働いている、宅地建物取引士であっても、ブローカーと呼ばざるを得ない人もいます。
実際に何人かいた(今もいる)のは
自分が所属する大手の看板によって収集した豊富な情報量の一部を
他社に横流しをして裏金(バック)をもらう人々です。
どんなに社会的に立派な肩書の名刺で仕事をしていたとしても
裏での彼らは立派なブローカーです。
不動産ブローカーの最終定義
書いていて、一体自分は何をしているのか?と思わなくはありませんが
サンタ郎的、不動産ブローカーとは
「不動産情報の提供という行為によって
宅建業者が通常負うべき責任の全部または一部を負うことなく
報酬を手にする人」
となります。
上記に該当する人は
宅建業・宅建士の免許の有無を問いませんから
大手不動産業者の中にも潜みうることがわかると思いますし
責任を負わずに報酬を得る点において、責任を負う宅建業者の人間から見下されがち
ということになるのです。
はっきり言って、別業種の人にしてみたら
目くそ鼻くその世界でしかなく
ただでさえ信用ならない不動産業者の他にもブローカーという無責任な人がいる
という残念な事実があるだけでした。
ではまた。